矯正治療開始まで

歯を矯正するメリットは?
矯正治療とは,不自然な位置にある歯や顎のバランスを整え,健康で美しい歯並びを作ることです.その結果,ものを咬む力の増加,発音の改善,むし歯や歯周病の予防といったことに寄与します.また,歯を正しい位置に並べることにより,顔の輪郭に影響を与え,その人が持つ本来の美しい笑顔を取り戻すことができます.

いつから始めるの?
矯正治療を開始する時期はそれぞれの咬み合わせにより異なります.うけ口など大人の前歯がはえてくる7-8歳からはじめた方がよい場合もありますし,八重歯のように10歳を過ぎて糸切り歯がでてこないと矯正が必要な咬み合わせに気づかないこともあります.
小さいお子さんでも不安な場合にはいつでもご相談ください.

大人になっても矯正はできる?
矯正治療に年齢制限はありません(歯周病・過去の歯科治療内容・骨格などの状況に左右されることはあります).最近では大人の患者さんの割合が増えてています.ワイヤーの太さや材質の進歩により以前よりも大人でも痛みが軽減し,また,目立たない透明感のある装置なども開発され,いつからでも矯正治療を始められるようになりました.

治療の流れ

相談
患者さん,ご家族の方が気になる歯並びについて,基本的な治療の流れを説明いたします.相談はレントゲンなどを撮影した場合でも費用はかかりません(保険対象治療では初診料などがかかります).
 
検査
歯型,顔写真,口の写真,各種レントゲンなどをとります.また,検査期間中にプラークコントロール(歯ブラシ方法など)の説明も行います.
 
診断
検査結果に基づき,患者さんに治療方針をご説明いたします.(診断・治療計画・初診時記録写真などを書面にてお渡しします.)
 
装着する装置について
使用する装置は混合歯列期(小学生頃から)の矯正と,歯並びをなおすマルチブラケット治療で異なります.詳細は診断の際にご提示いたします.「矯正装置について」「矯正治療例」のページも参照ください.
 
治療開始
いよいよ治療がはじまります. 歯を動かす期間はマルチブラケット治療で平均2年半位です.成長期の治療では通常1-2年ほど咬み合わせの大きな問題点の治療・ケースにより顎の成長の調整や歯のはえかわりの誘導(手伝い)を行います.
通院間隔は,歯を動かす期間は5-6週に1回,経過観察期間は2-6か月に1回です.

治療開始までに知っておいていただきたいこと

矯正治療を行う際,歯を動かす際に痛みがあったり,むし歯になりやすかったりします.矯正治療を行う際のリスク・副作用について説明します.

痛み
矯正装置を装着または調整後しばらくの間「痛み」が出ます.それでも,学校へも行けますし,仕事もできます.痛みは,特にものを咬んだとき(お食事中)に感じます.ピークは2-3日,完全に痛みがなくなるのは5-7日程度です.初回装置を装着した際には特に痛みが大きく,2回目以降は程度が軽くなります.

プラークコントロール
矯正装置をつけることによりむし歯のリスクが高まります.検査2回目に種々口腔ケア用品について歯科衛生士より説明します.むし歯の抑制に最も効果が高いのはフッ化物(いわゆるフッ素)とされていますのでその使用についてしっかり説明します.また,定期的な来院の際には歯科衛生士が歯のクリ-ニングをします.「プラークコントロール」のページを参照ください.

急患
装置の脱離やワイヤーの飛び出しにより定期的な通院の他に臨時の受診(急患)が必要となることがあります.電話連絡をいただき,装置再装着・ワイヤー再調整など対処いたします.

歯根吸収
矯正治療(特にマルチブラケット治療)後に歯根がやや丸くなる現象で,歯根吸収と呼ばれます.ほとんどの場合問題にはなりません.大きな上顎前突,外科併用矯正,すでに吸収のある歯,打撲したことのある歯,成人矯正の場合などやや高い確率で歯根吸収が起こります,混合歯列期の治療では歯根吸収はあまり起こりませんが,初診時から歯根吸収がある場合にはそれが進行します.
弱い力で歯を動かした方が吸収は起こりにくいとされていますので,慎重に力の調節をしていきます.ただし,患者さんの生まれ持った体質の影響もあるとされています.
(Physical properties of root cementum: part 14. The amount of root resorption after force application for 12 weeks on maxillary and mandibular premolars: a microcomputed-tomography study.2009 AJODO)(Genetic predisposition to external apical root resorption.2003 AJODO)

骨性癒着
打撲したことのある歯,低い位置にある歯,その他不明の要因により,歯と骨が直接ついてしまっている状態を「骨性癒着」と呼びます.そのような歯は矯正の力を加えても動きません.試しにその歯を動かしてみたりし,動かないと判断した場合には癒着している歯を抜歯の対象とすることがあります.不明の要因の場合,治療開始後に癒着が判明し治療方針を変更することがあります.
(Incidence of dental trauma associated with facial trauma in Brazil: a 1-year evaluation. 2004 Dent Traumatol)

後戻り(治療後の咬み合わせの変化
矯正治療で一度並べられた歯は骨格の変化などにより治療後も並びが変化します.10年単位で見られる歯並びの変化は、下顎前歯にガタガタがでてくることです。少しでも下顎前歯のガタガタの発生を押さえたい場合、下顎の保定装置を長期間使うことが推奨されています。
(Mandibular incisor alignment in untreated subjects compared with long-term changes after orthodontictreatment with or without retainers 2019 AJODO)

転医
矯正治療中に転居などにより他の矯正歯科にて継続診療を行うことを「転医」と呼びます.当クリニックでは,お父様の転勤に伴うものなどの他は極力転医は避けるようにしています.例えば,進学などで水戸から東京に移動することが判明している場合などは,治療を進学まで待ち東京の矯正歯科で治療を開始するか,進学後も東京から通院いただくか治療開始前に選択いただくようにしています.
やむを得ず転医が必要となった場合には,治療の進行状況により割合を算出し返金いたします.